国土交通省は毎月、実際の不動産取引価格データをもとにした「不動産価格指数(住宅)」を公表しています。年間約30万件におよぶ取引情報から算出される、実勢価格に近い公的な統計です。この指数を埼玉県が含まれる「南関東圏」で見ると、ここ5〜6年の力強い上昇に、直近では明確な変化の兆しが見られます。所有する不動産を今後どうするか考えるうえで参考になるデータを整理し、今後5年の見方を検討します。
1. 不動産価格指数とは——実際の取引価格に基づく公的統計
不動産価格指数は、2010年(1〜12月)の平均を100として指数化されたもので、住宅地・戸建住宅・マンション(区分所有)ごとに、全国・地方ブロック(関東地方など)・大都市圏(南関東圏など)・都府県(東京都など)単位で毎月公表されています。埼玉県単独の指数は公表されていませんが、埼玉県・東京都・神奈川県・千葉県で構成される「南関東圏」の指数が、埼玉県周辺の住宅市場を把握するうえで参考になります。
2. 過去5〜6年で大きく上昇——南関東圏の戸建・住宅地価格
2020年1月から2025年12月までの約6年間で、南関東圏の戸建住宅指数は99.6から124.7へ、住宅地指数は97.1から133.3へと大きく上昇しました。年率に換算すると、戸建住宅で約3.9%、住宅地で約5.5%のペースで上昇し続けてきたことになります。
南関東圏:戸建 99.6→124.7(年率+3.9%)/住宅地 97.1→133.3(年率+5.5%) 東京都:戸建 109.3→133.2(年率+3.4%)/住宅地 104.7→144.4(年率+5.6%) 関東地方:戸建 98.7→123.8(年率+3.9%)/住宅地 92.5→126.5(年率+5.4%)
| エリア | 戸建住宅指数(2025年12月) | 住宅地指数(2025年12月) |
|---|---|---|
| 南関東圏(埼玉・東京・神奈川・千葉) | 124.7 | 133.3 |
| 関東地方 | 123.8 | 126.5 |
| 東京都 | 133.2 | 144.4 |
| 全国 | 121.9 | 119.8 |
3. 直近1年で変化の兆し——上昇の勢いに一服感
ただし、直近1年間(2024年12月→2025年12月)だけを見ると、様相が変わってきます。南関東圏の戸建住宅指数は125.3→124.7で前年比-0.5%とほぼ横ばい、住宅地指数は136.4→133.3で前年比-2.3%とむしろ下落しました。東京都の戸建住宅指数も135.0→133.2で前年比-1.3%です。一方、全国の戸建住宅指数は118.4→121.9で前年比+3.0%の上昇が続いており、南関東圏・東京都で先に上昇の勢いが鈍化している可能性がうかがえます。
月ごとの数値には振れ幅があり(南関東圏の戸建住宅指数は直近1年で122.0〜131.0の範囲で推移)、これだけで下落トレンドに転じたと断定はできません。ただし、5〜6年続いた明確な右肩上がりのペースに、少なくとも変化が生じていることはデータから読み取れる事実です。
4. 今後5年をどう考えるか
将来の価格を正確に予測することはできませんが、今回のデータと、これまで本コラムでも取り上げてきた構造的な要因を踏まえると、次の2点は意識しておく価値があります。
- 短期的な変化——南関東圏・東京都では、数年続いた明確な上昇ペースに一服感が出てきています。過熱していた市場が踊り場を迎えている可能性があります。
- 中長期的な構造要因——人口減少に伴い、2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸まで減少すると予測されており、長期的には住宅需要そのものが縮小していく見通しです(詳しくは関連コラムをご覧ください)。
短期的な踊り場と中長期的な需要縮小が重なる可能性を踏まえると、「今の価格水準が今後5年も維持・更新され続ける」という前提で判断するのは、必ずしも安全とは言えません。もちろん逆に再び上昇局面に戻る可能性もゼロではなく、断定はできませんが、少なくとも「まだまだ上がるはずだから待とう」という判断には、これまで以上に慎重さが求められる局面だと言えそうです。
5. 所有物件をお持ちの方が今できること
今回のデータが示しているのは、南関東圏の住宅価格が歴史的な高水準にある一方で、その勢いには変化の兆しが出てきているという事実です。実家・相続した家・住み替えを検討している自宅など、所有する不動産をお持ちの方にとっては、今の資産価値を把握しておくことが判断材料になります。
「今の価値だけ知っておきたい」という段階のご相談も歓迎です。片付け不要・相続登記未了OK。現状を把握したうえで、売却・活用・保有をゆっくりご判断ください。
まとめ
国土交通省「不動産価格指数」によると、南関東圏の戸建・住宅地価格はこの5〜6年で大きく上昇してきましたが、直近1年ではその勢いに変化の兆しが見られます。人口減少という中長期的な構造要因も踏まえると、今の高水準が今後5年も続く保証はありません。所有する不動産のことが気になったら、価格が歴史的な高水準にある今のうちに、現状把握からお気軽にご相談ください。
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出典:国土交通省「不動産価格指数(住宅)」(令和7年12月分・季節調整値、2026年発表分まで反映)