2026年8月、大東建託が米国テキサス州で買い取りリノベーション再販事業を開始したというニュースが報じられました。2029年までに管理戸数150万戸(うち海外5万戸)で世界一を目指す戦略の一環だといいます。実はこの動き、大東建託だけの話ではありません。住友林業・積水ハウス・大和ハウスといった日本を代表する住宅大手が、ここ数年で相次いで北米の住宅事業に数千億円規模を投じています。なぜ今、これほど揃って海外に活路を求めているのか。その背景には、国内の住宅市場が抱える構造的な課題があります。所有する不動産を今後どうするか考える上でも、見逃せない動きです。
1. 住宅大手が相次いで北米で大型M&Aを実施
まず、各社の動きを整理してみます。
| 企業 | 主な動き | 規模・時期 |
|---|---|---|
| 住友林業 | 米住宅大手トライ・ポイント・ホームズを買収。全米5位規模へ。サンベルト地域中心にカリフォルニア・ネバダ州にも進出 | 約6,549億円/2026年2月発表 |
| 積水ハウス | 米MDCホールディングスを買収。米国16州で展開、年間供給約1.5万戸の全米5位ホームビルダーグループに | 約7,500億円/2024年4月完了 |
| 大和ハウス工業 | グループ3社(スタンレー・マーチン他)で引き渡し戸数を2022年の6,010戸から1万戸へ拡大目標。賃貸大手アライアンス・レジデンシャルにも出資 | 2026年目標/2024年出資 |
| 大東建託 | テキサス州で買い取りリノベ再販事業を開始(ロサンゼルスに続く2拠点目)。2029年までに海外管理戸数5万戸を目指す | 2026年4月現地事務所開設 |
いずれも一過性の投資ではなく、住宅事業そのものの主戦場を米国に広げる本格的な戦略です。住友林業では米国・豪州の住宅事業がすでにグループ利益の7割を占めるまでになっており、国内の注文住宅事業と並ぶ、あるいはそれ以上の収益の柱に育っています。
各社が共通して注目しているのが、人口増加が続き住宅不足が構造的な追い風となっている米国のサンベルト地域(南部・西部)です。日本国内とは対照的に、旺盛な住宅需要が見込める市場として位置づけられています。
2. なぜ今、国内より海外なのか——縮小する国内住宅市場
大手各社がこれほど揃って海外に軸足を移す背景には、国内の新設住宅需要が今後大きく縮小するという共通認識があります。野村総合研究所の予測によると、2040年度の新設住宅着工戸数は58万戸まで落ち込む見通しです。人口減少と世帯数の伸び悩みが、住宅を新しく建てる・買う人自体を減らしていくためです。
合わせて深刻なのが空き家の増加です。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、2023年時点の全国の空き家数は約900万戸、空き家率は13.8%で過去最多を更新しました。野村総合研究所の別の分析では、現状のペースで解体が進んだ場合、2043年には空き家率が25.6%まで上昇する可能性があるとされています。特に一戸建ての空き家は2023年比で2.6倍に増える見込みで、腐朽・破損のある「危険な空き家」も倍増すると予測されています。
新設住宅着工戸数の減少は、裏を返せば「既存住宅(中古・空き家)の出口が見えないまま増え続ける」ことを意味します。買い手・借り手の絶対数が減っていく市場では、同じような物件を持つ所有者同士の競争が今よりも厳しくなることが見込まれます。
もっとも、海外進出が万能というわけではありません。住友林業は2026年1〜3月期に米国住宅事業の不振で純利益が19%減少するなど、為替や金利、現地市場の変動リスクとも常に隣り合わせです。それでも各社が国内一本足から脱却する方向性を崩していない点に、国内市場の先行きに対する業界としての本音が表れていると言えます。
3. これは個人の不動産所有者にとって何を意味するのか
もっとも豊富な資本力・データ・市場分析力を持つ業界最大手が、揃って「国内の新築需要だけでは頭打ち」と判断し、数千億円単位を投じて海外に収益源を分散させている——これは、今後15〜20年の国内不動産市場の方向性を示す、かなり強いシグナルです。
だからといって「今すぐ売らなければ損をする」という話ではありません。ただし、次の2点は意識しておく価値があります。
- 人口減少に伴い、買い手・借り手の母数は長期的に減っていく可能性が高いこと
- 市場に流通する物件(特に空き家・地方の戸建て・相続物件)が今後さらに増えていく見込みであること
つまり、同じような条件の物件を持つ所有者同士の「選ばれる競争」は、時間が経つほど厳しくなっていく可能性があります。逆に言えば、市場がまだ相対的に動きやすい今のうちに方針を決めておくことは、選択肢を多く残すという意味で合理的な判断です。
4. 今から所有物件の「出口戦略」を考えるべき理由
「出口戦略」というと大げさに聞こえるかもしれませんが、要は次の3つの選択肢のうち、自分の物件にはどれが向いているかを整理しておくことです。
- 売却——今後の維持コストや管理の手間を考えると、早めに現金化して次の判断(相続対策・住み替え資金など)に活かす
- 賃貸活用——立地や需要次第では、賃貸住宅として収益化する選択肢もある
- 保有継続——今は判断せず、資産価値・維持費・将来の相続を見据えて保有を続ける
どれが正解ということはなく、物件の立地・状態・所有者の事情によって最適な答えは変わります。大切なのは、「片付けが大変」「相続登記が済んでいない」「そもそも売れるのか分からない」といった理由で判断を先送りにしないことです。特に埼玉県・春日部市周辺は、都心への通勤圏でありながら地元密着の実需もある地域です。地域の実情に詳しい不動産会社に早めに相談し、現状を把握しておくことが、結果的に選べる選択肢を広く保つことにつながります。
「まだ売ると決めていないが、今の価値だけ知っておきたい」という段階のご相談も歓迎です。片付け不要・相続登記未了OK。現状を把握したうえで、売却・活用・保有をゆっくりご判断ください。
まとめ
住友林業・積水ハウス・大和ハウス・大東建託——業界を代表する大手が揃って北米に活路を求めている背景には、国内の人口減少と新設住宅需要の縮小という、避けて通れない構造変化があります。所有する不動産についても、「いつか考えればいい」ではなく、市場がまだ動きやすい今のうちに出口戦略を整理しておくことが、将来の選択肢を広く保つことにつながります。実家や相続不動産、活用しきれていない土地のことが気になったら、まずは現状把握からお気軽にご相談ください。
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出典:住宅新報web「米テキサスで買い取り再販、北米事業拡大へ 大東建託」(2026年8月4日)、Bloomberg「住友林業が米戸建て住宅会社を6500億円で買収」(2026年2月13日)、日本経済新聞・各社ニュースリリース(積水ハウス・大和ハウス工業の米国事業)、野村総合研究所「2040年の住宅市場と課題」(2024年6月)、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」