「空き家を減らす」「土地を活用する」——政府の政策目標をそう一言で片付けてしまうと、本質を見誤ります。令和8年(2026年)7月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太方針2026)」でも、地域経済戦略の柱のひとつとして「持続可能で活力ある国土の形成」が掲げられています。これは単なる空き家対策ではなく、人口減少・相続・地方衰退・防災という日本全体の課題に対応するために、不動産を「使われる資産」へと変えていく一連の政策の延長線上にあるものです。ここでは、その背景にある空き家・土地政策の現状と、不動産業界にとっての意味を整理します。

1. 空き家900万戸という現実

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は約900万戸、空き家率13.8%で過去最多を更新しました。相続したまま放置される住宅、売れない地方住宅、管理されない土地が増え続けた結果、景観悪化・倒壊リスク・犯罪リスクの上昇に加え、固定資産税収の減少や地域の地価下落といった悪循環が各地で指摘されています。

📊 全国の空き家データ(2023年・総務省統計)

空き家数:約900万戸(過去最多)/空き家率:13.8%/2018年調査比で約51万戸増加

こうした状況に対する政府の基本姿勢は、「放置させない」「使えるものは使う」「危険なものは撤去する」の3つに整理できます。以下、それぞれの具体策を見ていきます。

2. 「放置すると損をする」制度への転換——管理不全空家と固定資産税

これまでは、所有者が何もしなくても行政側から強く介入することは難しく、「放置→老朽化→行政も動けない」という状態が続いていました。しかし2023年12月に施行された改正空家等対策特別措置法により、「管理不全空家」という新しい区分が設けられました。草木が伸び放題、屋根の崩れ、雨漏り、倒壊のおそれといった状態になると、行政は指導・勧告・命令、最終的には代執行(強制解体)まで行えるようになっています。

⚠️ 固定資産税が最大6倍になるケースも

「管理不全空家」として市区町村から勧告を受けると、住宅用地の固定資産税軽減特例(本来1/6)が解除されます。目安として敷地面積200㎡以下では最大6倍程度、200㎡超では3倍程度に増額する可能性があり、実際に税額が上がるのは勧告を受けた翌年度からです。状況を改善すれば認定は解除されます。

従来は倒壊寸前の「特定空家」だけが対象でしたが、その手前の段階から適用されるようになった点が大きな変化です。「まだ壊れていないから大丈夫」という判断は通用しにくくなっています。

3. 所有者不明土地問題と相続登記の義務化

もうひとつ政府が重視しているのが、所有者不明土地の問題です。祖父母から親、親から子へと相続が繰り返されるうちに、名義変更をしないまま何十年も経過し、土地の共有者が数十人規模に膨れ上がるケースが各地で発生しています。誰の土地か分からず、売ることも開発することもできず、道路整備などの公共事業まで止まってしまう——これが全国的な課題になっています。

この状況を改善するため、2024年4月から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。2024年4月より前に発生した相続にも遡って適用され、その場合の期限は2027年3月31日です。期限内の登記が難しい場合の簡易的な救済策として「相続人申告登記」という制度も設けられています。

登記を最新の状態にして「誰の土地か」「相続人は誰か」を明確にすることで、売却・相続・開発・公共事業を進めやすくする——これが制度改革のねらいです。

4. 「解体」から「活用」へ——空き家を地域資源に変える動き

政府が目指しているのは、空き家を一律に取り壊すことではなく、使えるものは市場に戻し、地域の価値を高める資源として活用することです。実際に、空き家を賃貸住宅・シェアハウス・古民家ホテル・民泊・店舗・カフェ・コワーキングスペース・福祉施設・子育て支援施設・地域交流拠点などへ転用する事例が各地で広がっています。廃校をホテルやオフィス、スタートアップ拠点に再生する例、空き店舗をチャレンジショップや地産地消レストランに転換する例も増えており、こうした取り組みは地方創生政策とも重なります。

5. 不動産業界にとってのビジネスチャンス

一連の政策は、不動産業界にとって新たな市場の広がりを意味します。特に次のような分野は、今後の需要拡大が見込まれる領域として注目されています。

分野想定されるビジネス
空き家流通買取再販、仲介、リノベーション
空き家管理巡回管理、除草、清掃、遠隔管理
相続相続コンサルティング、相続登記支援
地域活性化古民家再生、宿泊施設、店舗開発
土地活用遊休地の企画・開発、土地の集約・再編
DXAIによる空き家調査、所有者探索、データベース構築

今後の政策の方向性を踏まえると、「空き家を減らす」ことよりも、不動産を地域経済の資産として循環させる市場を育てることが本質だと言えます。そのため、空き家の発見から権利関係の調整、再生、運営までを一貫して担える事業者には、大きな成長機会が生まれる可能性があります。

6. 埼玉・東京にお住まいの方が今できること

制度が変わっていく中で、実家や相続した不動産、しばらく手をつけていない土地をお持ちの方が今できることは、決して難しいことではありません。

  • 相続登記が済んでいるか、名義は誰になっているかを確認する
  • 雑草や老朽化など「管理不全空家」に該当しそうな状態がないか確認する
  • 売却・賃貸・活用のどれが向いているか、まずは無料査定で現状を把握する
  • 登記未了・残置物ありなど「面倒そう」という理由で先送りしない
💡 査定・相談は無料。売却を強制することはありません

「制度が変わっているらしいが、自分の実家はどうなるのか」という段階のご相談も歓迎です。現状を把握したうえで、売却・活用・保有をゆっくりご判断ください。

まとめ

骨太方針2026が示す方向性は、空き家・所有者不明土地・相続登記といった個別の課題を、人口減少時代の国土政策として一体的に解決しようとする流れの延長線上にあります。放置すれば固定資産税の増額や過料、資産価値の下落といったリスクが積み重なる一方、早めに動けば選択肢は多く残されています。実家や相続不動産のことが少しでも気になったら、まずは現状把握からお気軽にご相談ください。

空き家・相続不動産のご相談は、まず現状把握から

片付け不要・相続登記未了OK・査定無料。売買実績500件超のKNホームが対応します。

📋 無料相談・お問い合わせはこちら

📞 お電話:0800-919-5566(通話無料 / 受付10:00〜18:00 定休日:火・水)

出典:内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2026」、総務省「令和5年住宅・土地統計調査」、国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法(2023年改正)」関連資料、法務省「相続登記の申請義務化」関連資料