日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から0.25%引き上げて1.00%とすることを決定しました。これは1995年以来、約31年ぶりの高水準です。7月の会合では一旦様子見となりましたが、原油高や円安を背景とした物価上昇圧力は続いており、市場では9月18日の会合でもさらなる利上げが実施されるとの見方が広がっています。住宅ローン金利にもこの流れは波及しており、実家や相続した空き家などローンが残る不動産をお持ちの方にとっても、無関係な話ではありません。
1. 日銀の利上げ、ここまでの経緯
2026年に入ってからの日銀の動きを整理すると、次のようになります。
- 2026年6月会合:政策金利を0.75%→1.00%に引き上げ(31年ぶりの水準)
- 2026年7月会合:6月利上げの影響を見極めるため据え置き
- 2026年9月会合:市場では0.25%の追加利上げ(1.25%)が観測されている
原油価格の上昇や円安による物価の上振れリスク、AI関連需要などを背景とした企業収益の改善が主な要因とされています。2026年の春闘では賃上げ率が5.01%となり3年連続で5%を超えるなど、賃金と物価がともに上昇する局面が続いています。
2. 住宅ローン金利も上昇局面に
日銀の利上げは、住宅ローン金利にも順次反映されています。2026年9月時点で、変動型住宅ローンの平均金利はメガバンクで年1.248%、ネット銀行で年1.292%となり、8月からさらに上昇しました。固定金利も長期金利の上昇を受けて軒並み引き上げられており、フラット35は年3.460%と、集計開始以来の最高水準を更新しています。
| 金利タイプ | 2026年8月 | 2026年9月 |
|---|---|---|
| 変動金利(メガバンク平均) | 1.082% | 1.248% |
| 変動金利(ネット銀行平均) | 1.211% | 1.292% |
| 10年固定(メガバンク平均) | 3.780% | 3.843% |
| フラット35 | 3.290% | 3.460%(過去最高水準) |
変動金利と固定金利の差は年2.23%と、これも過去最大の水準です。これから住宅ローンを組む方だけでなく、既に変動金利でローンを返済中の方にとっても、今後の金利動向が家計に与える影響は小さくありません。
3. なぜこれが「不動産売却」に関係するのか
金利上昇が不動産の売却を考えるうえで関係してくるポイントは、大きく2つあります。
① ローンが残る実家・空き家の維持コストが増える
相続した実家や空き家にまだ住宅ローン(抵当権)が残っているケースでは、変動金利型の場合、今後の返済負担が増える可能性があります。特に、空き家として活用せずに保有し続けている物件では、ローンや固定資産税などの維持コストだけがかかり続けることになります。
② 買い手側の資金力が変化し、市場全体に影響しうる
住宅ローン金利が上がると、買い手が組める借入額(返済比率から逆算した予算)は下がる傾向にあります。これまで当コラムでご紹介してきた国交省の不動産価格指数でも、南関東圏の戸建・住宅地価格は前年比でマイナスに転じるなど、上昇に一服感が出始めています。金利上昇が続けば、買い手の購買力が下がり、こうした価格の踊り場がより長期化する可能性も否定できません。
将来の金利や価格の動きを確実に予測することはできません。大切なのは、金利上昇という変化が起きていることを踏まえたうえで、ご自身の資産の現状(ローン残高・想定売却価格・維持コスト)を正確に把握し、売却・活用・保有のいずれが合っているかを判断することです。
4. 相続した家にローンが残っている場合の考え方
相続した実家にまだ住宅ローンが残っている場合、団体信用生命保険(団信)でローンが完済されているケースもあれば、そうでないケースもあります。売却する場合は、多くは売却代金で残債を完済し、抵当権を抹消したうえで買主に引き渡す流れになります。ただし、売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の状態だと、自己資金での補填や金融機関との調整が必要になることがあります。まずはローンの残高と、物件の今の想定売却価格を確認することが最初の一歩です。相続登記が未了の場合も、当社では並行してご相談いただけます。
5. 今、所有物件について確認しておきたいこと
金利が上昇局面にある今だからこそ、次の3点を確認しておくことをおすすめします。
- 物件にローン(抵当権)が残っているか、残高はいくらか
- 今売却した場合の想定価格(無料査定で確認可能)
- 保有を続けた場合の維持コスト(固定資産税・管理費・ローン利息など)
「今の価値と残債のバランスだけ知っておきたい」という段階のご相談も歓迎です。相続登記未了でもOK。現状を把握したうえで、売却・活用・保有をゆっくりご判断ください。
6. 焦って繰り上げ返済をしないことも大切です
既にローンを返済中の方は、これから借入を検討する方に比べて金利上昇への対策が限られます。ここで注意したいのが、金利上昇を受けて焦って繰り上げ返済をしてしまうことです。インフレと金利上昇が重なる局面では、手元資金の余裕が失われるリスクの方が大きいためです。一般的な目安である「生活費6か月〜1年分」に加えて、今後さらに金利が上昇しても返済が滞らないための予備資金を確保しておくことが基本になります。急な病気や失業などで収入が減った場合でも、予備資金があれば返済を継続しながら家計を立て直す時間を確保できます。
なお、「いざとなれば自宅を売って完済すればいい」と考える方もいますが、インフレが続いている局面では注意が必要です。売却でローンを完済できても、同じ立地・広さの住宅は値上がりしており買い直しが難しく、賃貸に移るにしても家賃が上昇している可能性があります。あらかじめ住み替え先を確保できている場合を除き、売却を最終手段として過度に期待するのではなく、無理のない予備資金を積んで返済を続けられる備えをしておくことが基本の考え方です。
まとめ
日銀は2026年6月に政策金利を31年ぶりの水準となる1.00%まで引き上げ、9月の会合でもさらなる利上げが観測されています。住宅ローン金利もこれに連動して上昇しており、ローンが残る実家・空き家をお持ちの方にとっても、資産の現状を見直すきっかけになるタイミングです。まずは現状把握から、お気軽にご相談ください。
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よくある質問
住宅ローン金利が上がると、空き家や実家の売却にどう影響しますか?
金利上昇は主に2つの形で影響します。1つは、物件にローンが残っている場合、金利上昇で毎月の負担や将来の返済総額が増えること。もう1つは、買い手側の住宅ローン金利も上がるため借入可能額が下がり、中長期的に住宅需要が軟化する可能性があることです。
親から相続した家に住宅ローン(抵当権)が残っている場合、売却できますか?
売却自体は可能です。多くの場合、売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消したうえで買主に引き渡します。ただし、売却価格がローン残債を下回る「オーバーローン」の場合は自己資金での補填や金融機関との調整が必要になることがあります。
金利が上がっている今、不動産は売るべきですか、それとも様子を見るべきですか?
将来の金利や価格動向を確実に予測することはできないため、一概には言えません。まずは今の資産価値を把握したうえで、ご自身の状況に合わせて売却・保有を判断されることをおすすめします。
出典:日本銀行「金融政策決定会合」関連発表、モゲチェック「住宅ローン金利2026年9月の最新動向」(2026年9月1日更新)。本記事は情報提供を目的としており、住宅ローンや投資に関する助言ではありません。実際の判断はご自身の状況を踏まえ、必要に応じて金融機関や専門家にもご相談ください。