「うちは相続税とは無縁」——そう思っている方ほど注意が必要かもしれません。国税庁の発表によると、2024年に相続税の課税対象になった被相続人の割合は死亡者全体の10.4%となり、初めて10%を超えました。なかでも東京都は20%に達しており、都市部では一般的な家族でも相続税の対象になる可能性が高まっています。
1. 相続税の課税割合は初めて10%超え
土地などの資産価値の上昇に伴い、財産が自宅と預貯金のみの一般的な家族でも相続税の対象になるケースが増えています。配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例の適用を受けるには申告が必要ですが、申告したことで結果的に相続税がかからないケースはこの課税割合には含まれていません。つまり、実際に申告作業が必要になる世帯はさらに多いということになります。
相続税の税務調査のうち、被相続人の自宅などを訪問する「実地調査」や、電話・文書で申告を是正する「簡易な接触」の件数は増加傾向にあります。相続税の税務調査は申告から1〜3年後に来ることが多く、毎年7〜11月ごろがピークとされています。相続財産が多額でなくても、基礎控除額を少し上回る遺産総額で申告内容次第では調査対象に選ばれることもあります。
2. 税務署はどうやって申告の誤りを見極めているのか
税務署は被相続人の生前の給与額や事業所得、所有する不動産、預貯金、有価証券といった資産の情報を長年にわたり蓄積しており、その情報をもとに保有資産を推計し、申告内容と一致するか確認しています。推計と申告内容にズレがあると過少申告が疑われやすくなるため、申告漏れを防ぐには生前の保有財産の洗い出しが重要です。
特に見落とされやすいのが、ネットバンクや転勤時に作った地方銀行の口座、暗号資産(仮想通貨)、ネット証券の口座などのデジタル資産です。家族がその存在を知らないまま放置されるケースも少なくないため、生前に一覧をまとめておくことが申告漏れの防止につながります。
3. 不動産の「見える化」が遺産分割と申告をスムーズにする
相続税申告の要否や、相続人間での遺産分割の方法(現物分割・換価分割・代償分割)を検討するうえでは、不動産がいくらで売れるのかという「見える化」が欠かせません。相続税の申告では固定資産税評価額や路線価をもとに評価しますが、これは実際の市場価格とは異なる場合があります。
特に、相続人が複数いて公平に分けたい場合や、実家に住む予定がない場合は、換価分割(売却して現金を分ける方法)が選ばれることが多くあります。早い段階で不動産の資産価値を把握しておくことで、遺産分割協議や相続税申告の準備がスムーズに進みやすくなります。
2024年から、相続財産への生前贈与の持ち戻し期間が、それまでの3年から7年に順次延長されました。長期的な視野で計画的に贈与を行わなければ、節税効果が想定より小さくなる可能性があります。税制は頻繁に改正されるため、税理士など専門家に定期的に相談しながら対策を見直すことが求められます。
まとめ
相続税の課税割合が初めて10%を超え、税務調査の件数も増加傾向にある中、申告漏れを防ぐには生前・相続後を通じた財産の「見える化」が重要です。不動産についても、まずは資産価値を把握することが、遺産分割や相続税申告をスムーズに進める第一歩になります。
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よくある質問
出典:国税庁「令和6年分相続税の申告事績の概要」等。本記事は情報提供を目的とした一般的な内容であり、税務に関する助言ではありません。実際の申告・対策については税理士にご相談ください。