東京23区を中心とした首都圏の賃貸市場で、これまで一般的だった「普通借家契約」に代わり「定期借家契約」を採用する物件が急速に増えています。不動産情報サービス各社の調査によると、2025年度の東京23区における定期借家マンションの割合は前年度比2.7ポイント増の9.2%となり、港区では約4割、渋谷区では2割近くに達しています。特に専有面積70㎡を超える大型ファミリー向け物件では前年度比4.4ポイント増の34.9%まで上昇しており、都心の賃貸市場のルールが変わりつつあります。

1. 「定期借家契約」と「普通借家契約」の違い

項目普通借家契約定期借家契約
契約の性質更新が前提期間満了で終了(更新なし・再契約)
家賃改定借主の同意が必要でハードルが高い再契約時に相場で見直しやすい
貸主の立場正当な理由なく更新拒否できない再契約の主導権は貸主側にある

普通借家契約では、一度入居した人の家賃を相場に合わせて引き上げるのは難しいのが実情です。一方、定期借家契約は法的には再契約のたびに「新しい契約」を結ぶ扱いとなるため、貸主は近隣相場の変動を反映しやすくなります。この「再契約時に賃貸条件をリセットできる」という点が、物価高騰局面でオーナー側から支持される主な理由です。

2. なぜ都心で定期借家が増えているのか

背景には、建設コストの高騰や共働き世帯の都心回帰による家賃上昇トレンドに加え、修繕費・管理費・固定資産税などマンション経営にかかるコスト増があります。定期借家であれば2年ごとに最新の相場で契約をやり直せるため、オーナーは収益機会を確保しやすくなります。また、騒音トラブルや家賃滞納があった入居者について「次回の再契約を行わない」という選択肢を持てる点も、資産価値の維持を重視するオーナーにとってのメリットです。

📊 大型ファミリー向け物件ほど定期借家化が進む

2025年度のデータでは、専有面積70㎡超の大型ファミリー向け物件における定期借家の割合が前年度比4.4ポイント増の34.9%まで上昇しています。分譲マンションの賃貸出しなど、設備グレードが高い物件でこの契約形態が選ばれる傾向が強まっています。

3. 賃貸経営を続けるか、今の価格で売却するか

定期借家契約への切り替えは、収益機会を確保する有効な手段である一方、契約更新のたびに入居者との条件交渉や空室リスクへの対応が必要になります。将来的な建て替えや自己居住の可能性がある場合、あるいは老朽化が進んでいる場合は、定期借家契約を活用した賃貸経営の継続だけでなく、今の価格で売却するという「出口」も選択肢に入れて検討する価値があります。

特に、相続などで取得した投資用マンションを賃貸のまま保有し続けている場合、管理の手間や将来の修繕負担を踏まえ、賃料相場が上昇している今のタイミングで売却を検討することも一つの合理的な判断です。

まとめ

都心マンションで急増する定期借家契約は、貸主にとって家賃を柔軟に見直せる仕組みとして支持を集めています。一方で、賃貸経営を続けるかどうかは、収益性だけでなく将来の資産計画も踏まえて判断することが重要です。出口戦略の一つとして、売却による資金化も選択肢に入れて検討してみてはいかがでしょうか。

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よくある質問

Q定期借家契約の物件でも売却できますか?
A売却は可能です。定期借家契約は契約期間満了で終了するため、投資用物件として購入した買主にとっては契約終了のタイミングを見込んだ収益計画が立てやすいというメリットがあります。入居者がいる状態での売却では、契約内容や再契約の有無を正確に買主へ説明することが重要です。
Q賃貸経営を続けるか売却するか、どう判断すればよいですか?
A修繕費・管理費・固定資産税などの保有コストと想定される賃料収入を比較したうえで、将来的な建て替えや自己居住の可能性も踏まえて検討するのが基本です。老朽化が進んでいる場合や資産整理を考えている場合は、賃料相場が上昇している今のタイミングでの売却も含めて不動産会社に相談することをおすすめします。

出典:不動産情報サービス各社の調査データ(2025年度・東京23区および港区・渋谷区の定期借家マンション割合)等を参考に作成。本記事は情報提供を目的とした一般的な内容であり、賃貸経営や投資に関する助言ではありません。実際の判断はご自身の状況を踏まえ、必要に応じて専門家にもご相談ください。