2026年4月、改正区分所有法をはじめとするマンション関連法の大半の規定が施行されました。以前のコラムでは築古マンションの建て替え・敷地売却に関する決議要件の緩和をご紹介しましたが、今回の改正は建て替えに限らず、日常的な管理組合の意思決定全般に影響します。マンションの売却を検討している方にとっても、押さえておきたい変更点です。
1. 決議の「母数」が出席者ベースに変わる
これまで、管理費の値上げなど比較的軽微な事項を決める「普通決議」は、多くのマンションで出席者の議決権をもとに緩和して運用されてきました。しかし、より重要な規約改正などの「特別決議」は、原則として全区分所有者を母数とした4分の3以上の賛成が必要とされ、所在不明者や無関心な所有者が多いマンションでは議論が進みにくいという課題がありました。改正法では、普通決議・特別決議とも、決議の母数が「全区分所有者」から「集会に出席した区分所有者」(議決権行使書・委任状・WEB出席を含む)に変わります。
| 決議の種類 | 母数の考え方(改正後) | 必要な賛成割合 |
|---|---|---|
| 普通決議 | 出席者ベース(法律上の定足数の制限なし) | 出席者の過半数 |
| 特別決議 | 区分所有者・議決権の各過半数の出席が前提 | 出席者の4分の3以上 |
| 建て替え決議 | 区分所有者・議決権ベース(原則) | 原則5分の4以上、要件を満たせば4分の3に緩和 |
2. 総会に出席しないと意思が反映されにくくなる
決議の母数が出席者ベースに変わるということは、裏を返せば、総会に出席しない、あるいは議決権行使書や委任状を提出しない所有者の意思は決議に反映されにくくなるということです。国は招集通知に、全議案の賛否を検討しやすいよう内容を要約した「要領」を新たに添付することを義務付けており、所有者側にもこれまで以上に総会内容を確認し、意思表示することが求められます。
理事のなり手不足を背景に、規約を改正して理事会を置かず管理会社が理事者の役割を兼ねる「管理業者管理者方式」を導入するマンションも増える可能性があります。発注者と受注者がいずれも管理会社になる構造上、利益相反が生じやすいと国も注意を呼びかけています。
3. 売却を検討するオーナーが注意すべきこと
決議要件の緩和により、これまで停滞していた大規模修繕や建て替えの議論が動き出す可能性がある一方、比較的少数の出席者の賛成だけで数千万円規模の工事が決まってしまう懸念も指摘されています。売却を検討している場合は、直近の総会議事録や修繕計画の進捗を確認し、大きな決議が予定されていないかを把握しておくと、買主への説明もスムーズになります。
法改正されても、各マンションの管理規約は自動的には変わりません。総会での特別決議を経て規約を改正する必要があるため、マンションによって対応状況にばらつきが生じます。売却前に管理会社へ規約改正の状況を確認しておくと安心です。
まとめ
2026年4月施行の改正区分所有法により、マンション管理組合の決議は「出席者ベース」の考え方に大きく変わります。売却を検討している方は、総会への出席状況や直近の決議内容を確認し、資産価値に影響しうる動きがないかを把握しておくことをおすすめします。
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よくある質問
※改正区分所有法は2026年4月1日に施行されました。決議要件の詳細は各マンションの管理規約や国土交通省の資料をご確認ください。本記事は情報提供を目的とした一般的な内容です。