巨大な3Dプリンターによって造られる「3Dプリンター住宅」が、新しい建築技術として注目を集めています。デジタル設計図のデータをもとに、機械が自動で素材を積み重ね、壁や土台などを形成していく仕組みで、外観に見られる滑らかな曲線や、造形表面に残る「積層痕」が特徴です。今回はこの新技術の概要と、既存の中古住宅市場・資産価値への影響を考えます。
1. 従来の建築との違い
従来の建築では、設計図をもとに職人が現場で材料を加工し組み立てます。木造住宅の継手加工、鉄骨造の溶接、RC造の型枠組みなど、高度な専門技術が必要です。一方、3Dプリンター住宅ではBIMやCADの設計データを機械に入力し、ノズルから素材を吐出して層状に積み重ねることで構造体を造形します。溶接や型枠、継手加工などの工程が不要になり、工期の短縮や施工の効率化、人手不足の解消につながる可能性があります。
2. メリットとデメリット
メリットとしては、自動施工による建設コストの削減(国内では500万円台の住宅も登場)、型枠工程が不要なことによる工期短縮(最短24時間で完成した事例も)、環境負荷の低減などが挙げられます。一方でデメリットもあり、日本の耐震基準の厳しさから建築基準法への適合が難しいこと、コンクリート系材料(モルタル)は高湿度・多雨の気候で劣化しやすいこと、施工できる企業がまだ少ないことなどが課題として残っています。
建設用3Dプリンターで使われるモルタルは、建築基準法第37条の「指定建築材料」に含まれていないため、構造部分に使用する場合は建築基準法第20条に基づく国土交通大臣の認定が必要です。
3. 中古住宅市場・資産価値への影響
3Dプリンター住宅は低価格住宅の実現や人手不足解消といった社会課題の解決につながる可能性を持つ一方、日本では法規制や素材の課題、施工体制の未整備などから普及にはまだ時間がかかると考えられます。そのため当面は、既存の木造住宅やRC造住宅が中古住宅市場の中心であり続ける見通しです。築年数が古い木造住宅であっても、適切な維持管理やリフォーム履歴があれば資産価値を保ちやすいという状況に、大きな変化はすぐには生じないと考えられます。
まとめ
3Dプリンター住宅は工期の短さやコストの安さ、自由なデザインなど魅力の多い新技術ですが、日本での本格普及にはまだ時間がかかりそうです。今お持ちの住宅の資産価値は、新技術の動向よりも、現状の維持管理状態やリフォーム履歴の説明のしやすさによって左右される部分が大きいといえます。
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本記事は情報提供を目的とした一般的な内容です。技術・制度の状況は今後変化する可能性があります。